ちひろワールド~●文章の作成、時々就職活動の話題、●マーケティングやコピーライティングなどの販売促進本のオススメ

販売促進、マーケティングやコピーライティング、文章作成の「本のオススメ」や要約を紹介します。

データ駆動マーケ完全攻略ガイド→ ROI倍増データドリブン戦略術

 もしあなたの広告費が半分に減っても売上を維持できるとしたら?──マーク・ジェフリーの『データ・ドリブン・マーケティング』は、その“魔法”を再現性ある科学へと変える一冊だ。本書の核心は「勘より数字」。まずジェフリーはマーケティング活動を15の主要指標に分解し、企業規模を問わずROIを可視化できると説く。売上成長率・顧客獲得コスト・ブランド認知度などを一列に並べれば、何が利益を生み、何が浪費かが一目瞭然だ。

 

 次に登場するのが「テスト・アンド・ラーン」。小さな実験を高速で回し、勝てる施策だけに資源を集中投下する手法である。成功確率が数値で裏づけられるため、社内プレゼンでも意思決定が加速する。さらにジェフリーは「データは孤島にするな」と警告。営業・財務・サプライチェーンの情報を統合し、顧客ジャーニーを俯瞰すれば、マーケターは“点”ではなく“面”で戦えるようになる。

 

 ハイライトはP&Gとアマゾンの事例だ。P&GはテレビCMからオンラインまでの接触データを統合し、無駄なGRPを30%削減。一方アマゾンは閲覧履歴と購買履歴をAIでマッチし、レコメンド売上を年20%伸ばした。共通項は「測定できるものしか改善できない」という鉄則である。

 

 しかし本書は単なる分析論に終わらない。「データが語るストーリーを社内にどう売り込むか」という“社内政治学”まで踏み込む。エグゼクティブが関心を示すのはクリック数ではなく利益率。指標をROI換算して届けることで、マーケ部門はコストセンターから成長ドライバーへと昇格できる。

 

 ラストは未来予測。クッキー廃止、プライバシー規制、生成AI──環境が激変しても、データに向き合い続ける組織だけが生き残るとジェフリーは断言する。

 

 本書を閉じる頃、あなたの頭には二つの問いが残るはずだ。「自社は何を測り、何を捨てるのか?」「実験を始めるのは今日か、それとも競合に先を越されてからか?」。答えは明白。読み終えた瞬間、あなたはすでに次のA/Bテストの設計図を描き始めている。