藤田勝利著『ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント』は、世界的な経営学者ピーター・ドラッカーの思想を、著者自身の経験とともに実践的に解説した一冊です。著者は名門ドラッカー・スクールで学び、企業の現場で実践した経験をもとに、単なる理論ではなく、現場で本当に役立つ「マネジメントの本質」を明らかにしています。
本書の最大の特徴は、マネジメントを「人や組織の可能性を最大限に引き出す技術」と定義し、数字や効率だけにとらわれない人間中心の経営を提唱している点です。ドラッカーの代表的な言葉「マネジメントとは人を活かすこと」を軸に、現代のビジネスリーダーが直面する課題――多様な人材の活用、変化への対応、イノベーションの創出など――にどう向き合うべきか、リアルな事例とともに語られています。
特に印象的なのは、著者が自らの失敗体験を率直に語りつつ、「なぜうまくいかなかったのか」「どうすれば人が動くのか」をドラッカー理論で解き明かしていく点です。部下のモチベーションを高めるにはどうすればよいのか、組織にイノベーションを生み出すには何が必要か――その問いに、著者は「対話」と「信頼」の重要性を繰り返し説きます。
本書を読めば、ドラッカーの理論が机上の空論でないこと、むしろ現場でこそ生きる“人間味あるマネジメント”であることが実感できます。マネジメント初心者はもちろん、経験者にも新たな気付きを与えてくれる一冊です。組織や人の成長に悩むすべての人に、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。