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9割知らない自己紹介の極意全部公開今すぐ

 「はじめまして。○○と申します。出身は――」──この無難な定型文が、実は人生最大のビジネスチャンスを取りこぼしている。元外交官でビジネススクール教授の山中俊之は、『日本人の9割は正しい自己紹介を知らない』で「自己紹介は名刺交換でも履歴書朗読でもなく、30秒で相手の脳を射抜くマーケティングだ」と断言する。

 

 日本人の自己紹介が滑る原因は「謙遜」「情報過多」「順番ミス」という“三つの壁”。遠慮して強みをぼかし、時系列に経歴を羅列し、最後にやっと結論を言う──これでは聞き手の集中力は15秒で途切れる。

 

 そこで著者が提示するのが“4WH”フレームだ。①Who=肩書きより「どんな人間か」を一語で示す。②What=専門性を数字や実績で具体化。③Why=仕事へ注ぐ情熱を短い物語で語る。④How=相手へ提供する価値を提案する。この順番で語れば、初対面でも「もっと聞かせて」と身を乗り出させられる。

 

 さらに自己紹介を刺さるものにする“3つのフック”も必須。第一のフックは「ギャップ」──意外な経歴や失敗談で予想を裏切る。第二は「数字」──漠然とした形容詞ではなく「売上を2年で3倍」と定量化。第三は「未来」──自分が描くビジョンを語り、聞き手を共同プロジェクトの仲間へ巻き込む。

 

 流暢さより準備が命だ。山中は「スマホに自分の4WHとフックを50字ずつ書き出し、場面別に編集しておく」ことを推奨する。社内会議なら30秒、営業先なら90秒、オンラインではチャットに140字──フォーマットを持てばどこでも瞬時に自己紹介をカスタマイズできる。

 

 最後に著者が強調するのは「自己紹介は更新型コンテンツ」という視点。経験が増えればプロフィールも変わる。月に一度4WHを点検し、「過去の肩書きにしがみついていないか」「相手のメリットが曇っていないか」を見直すだけで、あなたの言葉は常に最新の魅力を帯び続ける。

 

 ページを閉じる頃には、あなたはもう「名前+会社+年数」をつぶやくだけの人ではない。30秒の言葉でチームを動かし、キャリアを引き寄せる“セルフプロデューサー”へと変貌しているはずだ。自己紹介という最小のスピーチが人生をドラマチックに広げる──その具体的手順と熱量が、読み手の指を最後まで離さない一冊である。