AV監督として数千人の男女を見てきた二村ヒトシは、『モテ』を「相手の人生を応援できる人間力」と再定義する。本書は、恋愛でつまずく人が抱える「自分を愛せない」という根源的課題をえぐり出し、①セルフラブで自分の価値を肯定する ②相手を対等に扱う会話術 ③欲望と不安を言語化するセルフカウンセリング――という三つの処方箋を示す。
最大の眼目は“性的魅力”の逆説的捉え直しだ。セックスは「相手の快感を一緒に喜ぶ協力プレイ」であり、自分の欲望を誠実に伝える姿勢こそ最高の色気になると説く。著者は観察の末、女性が求めるのは「特別扱いされる安心感」、男性が欲するのは「役に立てたという自己効力感」と分析し、両者を満たす鍵として「聞く力」と「褒める力」を提案。
また、SNS比較地獄から抜け出すには「スキル取得」と「コミュニティ参加」を習慣化し、他者承認より自己成長を志向せよとアドバイスする。さらに結婚・子育て・老いを視野に入れた長期パートナーシップ戦略を提示し、「モテる人＝与える人」という哲学で締めくくる。読後には“見た目より心と会話を磨け”という真理が腑に落ち、次の出会いが待ち遠しくなる一冊である。
